月命日の頃

生々しい表現があります事を、先にお詫びしておきます。
苦手な方は、読まない方が良いかもしれません。




毎月この頃になると、まだ鮮明に思い出す事がある。


私は妊娠中に糖尿病と診断された。
かなり酷い状態で、入院してインスリン治療となった。
それでも毎日お腹をさすりながら、お腹の中で着々と大きくなり時折ポコポコと動く子に安堵し、幸せを感じていた。


妊娠6ヶ月目の赤ちゃん。
上の子と離れているが、家族皆でとても楽しみにしていた。


でも、私の体はどんどん悪くなった。いろんな所が悪くなった。
数値の安定なんて、本当に夢のような話だった。
さぞかし居心地の悪いお腹だったろう。
私は赤ちゃんを産んであげられなかった。
入院中のある日、赤ちゃんは私の体から出て行った。
陣痛が起き、ナースコールを押したが間に合わず、
廊下に大量の羊水をぶちまけ、慌てて分娩室へ行った。


その赤ちゃんは、産声もなかった。
ひとつ大きく息をはいて、息をひきとった。
まだほんの500gの命だった。


慌てて駆けつけた夫の目は、真っ赤だった。
まだ、両手に乗る程の小さく目も開いていない赤ちゃんを、先生は抱かせてくれた。
夫にどことなく似ている男の子だった。
二人でその子を抱き、ぼろぼろ泣いた。
「ごめんね、ごめんね」
これしか言葉は出てこなかった。


妊娠というのは糖尿病を悪化させる。
この子は、私を守ってくれたのだと思っている。




この子が予定日に生まれていたとしたら、もうすぐ2ヶ月。
今日も遺影となるエコー写真に手を合わせる。
「あなたのお陰で生きています。ありがとう」






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